イベント EVENTS REPORTS10周年記念第2回トークイベント|2018年6月23日〈世界〉渦となって 総文から世界へ/世界から総文へ

10周年記念第2回トークイベント|2018年6月23日

〈世界〉渦となって 総文から世界へ/世界から総文へ

チラシ

第1部

Sobun大喜利:マネジメントと政策

モデレーター&パネリスト:堀内正博
パネリスト:内山隆、大島正嗣、川又啓子 (企画責任者)
「これからのスポーツ:eスポーツとは?」大島正嗣

みなさん「eスポーツ」ってお聞きになったことがありますか。私は現在、次に登壇される川又啓子先生とともに、「『eスポーツ』のスポーツ化に関する探索的研究」という研究ユニットを立ち上げ、①eスポーツの研究拠点化、②高等教育におけるカリキュラム・モデル開発、③eスポーツの聖地化の基盤整備、この3点を目標に掲げて取り組みをスタートしたところです。そこで本日は、eスポーツとは何かについてご紹介します。

大島 正嗣

大島 正嗣Oshima Masatsugu

国内電機メーカーを経て、青山学院大学専門職大学院国際マネジメント研究科(青山ビジネススクール)に赴任。2008年の学部創設時に総合文化政策学部に移籍。人間とコンピュータのインタラクションを研究。人間寄りの情報に興味があります。学部では、情報環境論、情報工学などを担当。

基本的にはネット上のゲームなんですが、対戦という面があるのでそれをスポーツと捉えて、現在さまざまな大会が行われ、韓国やアメリカでは億単位を稼ぐプロゲーマーまで存在しています。ゲームを楽しむだけでなくオーディエンスもいて、AmazonがTwitchという会社を買って、ゲームに特化したネット配信を行い、それを世界中の人が見ているという状況です。YouTube やニコ動なども配信していますが、Twitchが最大手ですね。

近年の隆盛を受けて2024年のオリンピックの種目にしようということも言われていて、日本でもそれまで3つに分かれていた業界団体が2018年2月に「eスポーツ連合(JeSU)」として統合されて動き始めました。総務省によると2017年の市場規模は700億円、視聴者数は3億人です。3億人といってもピンとこないかもしれません。リオ五輪の時の総視聴者数が36億人、閉会式の視聴者が約3億人といわれているので、そこそこの規模感といえると思います。

アメリカのカリフォルニア大学のアーバイン校ではパソコンが並んでいるゲーム室のようなeスポーツ用アリーナを作りましたし、eスポーツが得意な学生に奨学金を出す動きがあります。またElectronic Artsというゲーム会社がFIFAと組んで、サッカーのeワールドカップが開催されていますし、日本では茨城県が都道府県対抗eスポーツ大会を開催するといったことが大きなトピックになっています。

このように活況を呈してはいるのですが、「そもそもパソコンのゲームがスポーツなの?」とお感じになる方も多いかもしれません。これはTwitchのライブストリーミング配信の様子です。こんなふうに、ネット上である人がやっているゲームの状況をライブで見ることができます。横には掲示板やコメント欄があって、オーディエンスが「上手い!」とか、「そこだ!」という歓声を寄せています。ちょうど友達の家に行って誰かがテレビゲームをやっているのを見ているような感覚で、プレイしている様子をネットで見ている感じです。右下に赤字で視聴者数が出ていますね。有名なプレイヤーになると3万人もの人が観戦しています。3万人というと、大きなスタジアムで見下ろしている感じでしょうか。

もちろんeスポーツでは物理的なアリーナは現実にはないし、身体性もスポーツスピリットもバーチャルですからありません。もうちょっと抽象化したところに位置するのかなと考えていますが、今私たちがテレビやネットで観戦しているスポーツだって、抽象化していくとeスポーツ的なものだというふうに考えても面白いのではないかと考えています。
そのあたりはいずれ研究が進んだところで、ご紹介しましょう。

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