イベント EVENTS REPORTS 10周年記念第3回トークイベント|2018年11月17日 人間は今どこにいるのか?

10周年記念第3回トークイベント|2018年11月17日

人間は今どこにいるのか?

チラシ

第2部

AI時代に人間はどうなるのか

モデレーター:小林康夫 パネリスト:中野昌宏、茂牧人、福田大輔、森島豊、間宮陽介 (企画責任者)
AIとアイデンティティ

やはりアイデンティティの問題になってくるのではないでしょうか? 機械自身が自分のやっていることを自覚しているのかというところがポイントで、自分でやっていること、やってきたこと、そのすべてを振り返ることができない間は、応答しているとは言えないと思います。
間宮先生は、AIが発達すると、人間自身のアイデンティティも変わっていくのではないかとおっしゃいましたが、いかがでしょうか?

間宮

たしかに人間は自分がやってきたことや、10年前のことを振り返ったりしますが、最近では、条件反射的に行動して、ムシャクシャするから刺す、家族が大変だろうと思わないような短絡的な人もいます。先ほど、機械が人間化するよりも、人間が機械化する可能性もあるだろうと申し上げました。大学に何十年も勤めていますが、学生の気質だって変わってくるし、政治家だって変わってきています。経済だって儲かることにだけパッと飛びつくでしょ。だから、人間が機械化するような時代にどうするかということを考えなければならない。

仮にそういう人が増えても、「それは間違っている」と大局的に考えられるのが人間で、日本人としてのアイデンティティ、アジア人としてのアイデンティティ、さらには地球人としての、宇宙人としてのアイデンティティというふうに、より全体を見渡すことができる、「こうあるべき」の方向を目指せるのが人間の可能性です。AIはそのような変化ができるでしょうか?

間宮

デジタルテクノロジーのもとで、人間社会は部族社会化していくと言った人がいました。例えば、Amazonなどで商品の画像をクリックして閲覧したり買い物したりすると、その次からその関連商品の広告が出てくるでしょう。ヤフオクでよくクラシックのアナログレコードを買うんですけれども、もしAKB48をクリックすると、「高尚ぶった音楽を聴いているけれどロリコンだな」というわけで、今度はロリコン趣味のものが次々と出てくる。このように、同じものが固まって部族社会化していくわけです。しかもグローバリゼ—ションで世界中がマーケットになって資本主義から抜け出ることができない。「それはまずいそ」と考える人たちが人間社会には何人かいるけれど、「問題だ」と考えるAIはいるのかな。

デジタルテクノロジーのもとで人間社会は部族社会化していく デジタルテクノロジーのもとで人間社会は部族社会化していく

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