プレイベント 2018年2月26日 杉浦勢之教授による特別レクチャー

プレイベント | 2018年2月26日

杉浦勢之教授による特別レクチャー総文創設のいきさつと学部の由来を語る

杉浦勢之Seishi Sugiura

  • 職位:教授
  • 専門:日本経済史(近代日本財政金融史)
総合文化政策学の構成

そこでカリキュラムを構成する学問はどうなのということになります。共通基盤としての「公共」、それから具体的な対象領域の柱としてはメディア、都市、アートが当初より考えられていました。ただこれらを実体化し、それがすべてとするのはいささかも「創造的」でありません。それでは歴史的文脈としての学問分類に思考拘束されてしまっています。そこで今回それをいささか言い換えてみたいと思います。「文脈としての文化」というものをそもそも拡張現実なんだと実験的に考えてみます。そうしますと、チャネルとしての情報空間・ネットワークのノードとしての都市空間・表現としての拡張空間という三層の空間がフィールドとして見えてくるということで考えてみたらよいのではないかと今は考えています。そこには物質と観念、身体と精神(二項対立的表現になってしまって恐縮ですが)が折り畳まれている、そこを「総合」していくというふうに見えてきます。その「現場」がフィールドといえばフィールド。

総合文化政策学の構成

その「総合」のために、従来の区分で言えば「人文学」、「社会科学」、「自然科学」、「芸術」を足場としつつ横断していく、「公共」ということを触媒に多様性における統一へと進んでいけるような「学知」、そういう意味で運動する「知」ということが言えるのではないかと、そういったことを考えています。因みにとても難解な箇所ですが、カントは第三批判の第二部で、自然の目的として「人間」と「Kultur」をあげています。後の方は日本語では「文化」あるいは「開化」と訳されているようです。全面的に納得するかどうかは別にして、愚直にカントを手すりに出発したと考えれば、とても味わい深い、カントを超えていく「開け」だなと思いました。

ところでこの真ん中の軸ともなり、〈場〉ともなるところが空白だと思われるでしょう。これはあえて括弧に入れております。作業中ですね。今個人的には、やっぱりここには経験領域における時間性として、いわゆる歴史学プロパーをはみ出す「歴史」がくるのかなっていう気がいたしております。全ては多層の時間の流れの中にある。そうすると、フィールド、空間性としての対象領域と、その時間性としての歴史があって、それをそれぞれの多様なディシプリンが巡りつつ「総合」していく、それがどのような〈場〉をつくっていくのかっていうふうに考えたとき、総合文化政策学の「学」としてのネクスト・ステージ、セカンド・ステージが始まるのかなという感じが、今ちょっとだけ個人的にしてきたということだけお伝えします。押し付けはなしということで。

次のページ:21世紀の課題