10周年記念第3回トークイベント|2018年11月17日 人間は今どこにいるのか?

10周年記念第3回トークイベント|2018年11月17日

人間は今どこにいるのか?

チラシ

11月17日には、10周年イベント第3回目を数えるトークイベントが行われました。会場はおなじみの青山学院アスタジオ地下ホールです。1部と2部に分かれ、それぞれ視点の違うトークに、たくさんの教員が参加し、議論を行いました。

総文の教員が「全員参加」を目指す本周年イベント。第3回目の本会は、10人の教員に加えて大学院生と学部卒業生も登壇しました。

第1部は「越境のポリティクス」と題し、テーマを2つに分けて展開しました。
最初のテーマは〈越境の文化――からだとことば〉。日本中世の歌と舞、身体を研究する沖本幸子教授は、芸能において身体が過去と未来、この世とあの世を媒介するメディアであることに、他方、ヴィクトリア・ストロイヴァ助教は境界を越えるという行為(越境)とコミュニケーション構造との類似点に着目しました。これらに対して竹内孝宏教授が示唆深いコメントを提示し、モデレータの小林康夫特任教授の司会で登壇者間の討論を行いました。

次に、〈越境する人々――国境管理の現在〉というテーマのもと、まず飯笹佐代子教授が、人びとの自由な移動を阻む海上に引かれた種々の境界の存在と、「密航」という安全な生活を得るための危険な越境移動について解説しました。続いてミャンマーの少数派イスラム教徒であるロヒンギャ出身の本学部卒業生カディサ・ベコム氏と、NPO法人難民を助ける会会長で本学大学院生でもある柳瀬房子氏が、それぞれ難民としての当事者と、支援者の立場から難民をめぐる実状と日本社会の課題について発言し、会場に深刻な問いを投げかけました。

第2部は内容を大きく変え、テーマは「AI時代に人間はどうなるのか」です。
ディレクターである中野昌宏教授がAIの開発の歴史や課題などを概説し、その後4人の教員がトークを繰り広げます。哲学が研究領域の茂牧人総文学部長・教授、精神分析の福田大輔准教授、大学宗教主任の森島豊准教授、社会経済学専攻の間宮陽介特任教授が、それぞれの専門性を背景にAIと人間との関係性を語り合う時間は、創造性あふれる闊達なセッションとなりました。学生や杉浦勢之教授から発せられた質問や意見も、AI時代を生きる我々の課題をより明確にしました。

最後にモデレーターの小林康夫特任教授が国境やAIとアイデンティティについて総括し、「人間は今どこにいるのか?」という問いへのヒントを示したところで、4時間のイベントが終了しました。

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